事業を開始するにあたり、個人事業主として開業するのか、会社を設立して法人として開業するのか、悩まれる方は多いかと思います。
弊社でもよくご相談を受ける内容であるこのテーマについて、まとめましたのでご自身の開業の際のご参考にして頂ければと思います。
※個人事業主からの法人成りによる会社設立については、こちらのコラムで詳しく解説しておりますのでご参照ください。
事業を開業する際には、主体となるものが会社(法人)となる場合と個人(個人事業)となる場合がございます。
まずは、それぞれの違いについて簡単に確認していきます。
開業するにあたり、定款の作成、法人登記等の作業を経て会社を設立する必要があります。
会社設立に際し、資本金や設立費用等の初期費用やある程度の時間が掛かるものの、一般的に個人事業主よりも社会的な信用度は高いです。
節税対策もしやすい等のメリットはありますが、赤字決算でも法人市県民税が掛かる等のデメリットもあります。
定款で設定した事業期間に基づき決算を行う必要があります。
自営業として税務署に開業届を出すのみで始めることができ、法人開業に比べて手軽に開業することが出来ます。
事業経験がない等、事業の先行きが不透明な場合は個人事業で開業し、事業が軌道に乗れば会社を設立し法人で事業を経営する「法人成り」をするケースもあります。
>>参考コラム法人成りのベストなタイミングとは─インボイス制度による影響はある?
個人事業は開業時期に関わらず、1月~12月を事業期間として確定申告を行う必要があります。
次に、会社設立(法人開業)についてのメリット・デメリットについて具体的に解説します。
取引の際には得意先との信頼関係が必要となります。法人は誰でも取得できる登記簿謄本を見ることで、その法人の事業目的や資本金、代表者の情報等を得ることが出来ます。
このようなことから、個人事業主に比べて事業の実態を掴みやすく、得意先と円滑に取引を進めることが可能となります。業界によっては個人事業主とは取引をしないという会社も存在することがあります。
また、社会保険の加入等が必須のため個人事業に比べ人材も確保しやすい傾向にあります。
法人は、個人事業と比べて経費として算入できるものの範囲が広いです。
また、減価償却費の任意償却や旅費規程の作成など節税策の柔軟性も高くなります。
さらに、赤字の繰越控除の出来る年数が大きく異なり、個人事業が3年であるのに対し法人は9年(平成30年4月1日以後に開始する事業年度については10年)となります。
個人に掛かる税金である所得税は、累進課税制度となっています。これは所得が増えれば増えるほど税率が高くなっていきます。
所得税率は5%~45%まで所得に応じて段階的に上がっていき、これとは別に住民税が一律10%課税されていきます。
これに比べて法人は資本金1億円以下の中小企業かどうかで税率が異なるものの、法人税率15%~23.2%となります。
これに法人市県民税等の税率が課されるため実質的な実効税率は21%~35%ほどとなります。
このように、事業の利益が大きくなればなるほど個人事業よりも法人の方が税負担は少なくなっていきます。
また、法人の場合は役員報酬にて個人への所得の分散が可能なため、単純な税率比較以上に税額を抑えることが可能です。
個人事業主は1月~12月が事業年度と定められていますが、法人の場合は決算月を自由に設定することが可能です。
そのため、繁忙期を避けて決算月を設定することで決算事務作業の負担を分散させることができます。
個人事業の場合は事業のお金と個人のお金の線引きが曖昧になりがちですが、法人の場合は法人のお金と個人のお金をきっちり分かれています。そのため金融機関としてはその法人の財務状況を把握しやすく融資判断がしやすくなります。
ただし、創業融資を受ける場合にはその法人の実績がまだないため、創業者の実績と創業計画を基に判断されますので個人事業か法人かによる融資の通りやすさは変わりません。
個人事業主が亡くなった場合には、その財産のすべてが相続の対象となります。法人の場合には個人の相続は関係ありませんので相続税はかかりません。
また、事業主が亡くなった事による預金口座の凍結に伴い、支払が滞る等の事業へ支障をきたすケースを防ぐことができます。
ただし、法人への出資や株式を売却する場合には譲渡益が課税されます。
個人事業の場合には、事業所得が赤字で合計所得金額がマイナスとなる場合には所得税は発生しません。
しかし、法人の場合には赤字決算となった場合でも法人県民税・法人市民税の均等割額71,000円(岡山県の場合)が必ず課されることとなります。
法人では、1名でも常時従業員(事業主を含む)がいる場合には社会保険への加入が義務づけられています。社会保険に加入すると役員や従業員の社会保険料額の半分を法人が負担する必要があります。
そのため、支払う役員報酬や給料賃金が多くなればなるほど、法人が負担する社会保険料額も高くなります。
会社の設立には、初期費用として株式会社で約20万円(定款認証費用5万円、登録免許税15万円)、合同会社で約6万円必要となります。
また、会社を解散する際にも解散登記や清算結了登記費用等が必要となってきます。
したがって、個人事業に比べて開業・廃業時のコストが大きくなります。
法人は個人事業に比べて厳密な会計ルールに則った会計処理を行う必要があります。
そのため、個人の申告よりも法人の申告は複雑になり税理士への依頼を必要とするケースが多くなります。経理事務のほか、社会保険や労働保険等の労務事務や株主総会の開催と議事録作成など法律上求められる手続きが多く、事務負担は格段に増加してしまいます。
法人では事業で得たお金を社長であっても個人的な支出に使うことは出来ません。個人的な支出は役員報酬内で支払う事が前提となりますので、会社のお金を事業以外の支出のために引き出した場合にはそのお金に対して利息が発生する事となります。
以上が、会社設立のメリット・デメリットの代表的なものとなります。
個人事業での開業、法人として会社を設立してからの開業の判断については、上記のメリット・デメリット以外にもその時の状況によって判断すべきポイントがあるかもしれません。
岡山・倉敷・赤穂創業支援センター(運営:税理士法人さくら総合会計)では、日本政策金融公庫での創業融資のほか、こういった個人事業の開業や会社設立による法人開業のご相談・設立代行等を承っております。
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